うねり取り?波の上の魔術師の感想

石田衣良さんの『波の上の魔術師』は2001年に出版されました。『池袋ウエストゲートパーク』シリーズなどは読んでいましたが、この本を買っても読み続けられませんでした。当時は20代前半、就職氷河期でフリーターだった僕は多くの人と同じように、お金からお金を生み出すことは間違っていると何となく思っていましたし、経済についての知識はほぼゼロでした。

『IWGP』『ハンドク』などの長瀬智也さん主演で堤幸彦監督演出のドラマはけっこう見てたんですけど、やっぱり「波の上の魔術師」が原作の『ビッグマネー!〜浮世の沙汰は株しだい』も見てませんでした。

それからもう15年以上経って、金融には金融の役割があり、投資の技術はこれから生きていく上で少なくとも自分にとっては必要であるという考え方に変わっています。人口知能とロボットによって人間の仕事は減るだろうし、体を壊したら収入が無くなるという状況は危険だと思っていますから。そんな2017年の今更『波の上の魔術師』を読み終えました。

波のうえの魔術師 (文春文庫)
波のうえの魔術師 (文春文庫)

今読むと、タイトルがパンローリング系だなとか思いますが、15年前はパンローリングの本なんか一冊も読んでませんでしたから。一般人は『マーケットの魔術師』という本の存在自体を知りません。ちなみに、『マーケットの魔術師(Market Wizards)』の原書が発売されたのが1989年です。翻訳書『新マーケットの魔術師』が発売されたのが1999年で、『マーケットの魔術師』が出版されたのが2001年で、新旧で時間が前後しているようです。

『波の上の魔術師』のあらすじは、大卒でパチンコばかりやっているフリーターの「おれ」が、相場師の老人小塚にリクルートされて、株取引の技術を身に着けつつ、最終的に復讐を兼ねた仕手戦に参加するというものです。

石田衣良さんは新日鉄株の売買をしていたそうですが、林輝太郎さんの影響を受けているんだろうというような推測ができます。「うねり」「リズム」「分割」「つなぎ」などの言葉がよく出てきます。こうした単語が出てくる株に関する小説って珍しいと思います。『波の上の魔術師』はある程度株の知識が無いと「結局株ってインサイダー取引じゃないと勝てない」と誤読する可能性が高いと思います。

いくつか気になった文章を引用します。

何度にも分けて売買することで、株価の平均値を有利にし、一点での勝負でなく、時間軸のなかで線の勝負ができるようにする。基本中の基本だ。

株式などギャンブルにすぎないと考える愚かな人間は、五パーセントの収益を嗤うだろう。彼らには簡単な計算さえできない。月に五パーセントの複利で資金をまわせるなら、年間の利益率は八十パーセント近い。

『波の上の魔術師』での株取引の具体的なノウハウって、午前中は新聞を一紙全部読んで、気になった所をスクラップする。一つの銘柄の終値を毎日記録し、折れ線グラフを描くというだけです。これを読んでも具体的な取引方法は分かりませんが、更に知りたい場合には「うねりチャート底値買い投資術」が参考になると思います。石田衣良さんの投資法とほぼ同じだと思いますから。

スポンサーリンク
レクタングル大




レクタングル大




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサードリンク

スポンサーリンク